登山 2017年 旭岳~富良野岳 70km縦走 (大雪山系~十勝連峰)
2017年 07月 05日
ちょっと早めの夏休みを頂いたので、
6/30~7/5まで旭岳~トムラウシ山~富良野岳の70kmを縦走してきました。
(4泊5日予定。途中の悪天候による部分的な停滞が続き5泊6日に変更)
6/30:旭岳ロープウェイ~旭岳~北海岳~白雲岳~白雲避難小屋
7/1:白雲避難小屋~高根ヶ原~忠別岳~五色岳~化雲岳~ヒサゴ沼避難小屋
7/2:ヒサゴ沼避難小屋~トムラウシ山~三川台~ツリガネ山~コスマヌプリ~双子池
7/3:双子池~オプタテシケ山~ベベツ岳~美瑛富士避難小屋
7/4:美瑛富士避難小屋~美瑛岳分岐~十勝岳~上ホロ避難小屋
7/5:上ホロ避難小屋~上富良野岳~三峰山~富良野岳~十勝岳温泉凌雲閣
今回は予備日を2日入れて、合計7日間分の食糧・燃料を準備。
食料は単純計算で約17,000kcal分と行動食を準備。
ザック重量は20kgを少し下回るまで装備をカット&軽量化してみました。

行動中の飲料水を大量に持たずに済みました。
6/30 始発の旭岳ロープウェイに乗って姿見駅に到着。
最高の天気のなか縦走をスタート。

10分ほど進んで姿見の池で、ちょうど居合わせた方に撮影してもらいました。

初日、旭岳の山頂に向かう斜面から5日後のゴールである富良野岳のピークを確認。
こうして改めて見てみると遠く遠く感じる。
大きなワクワク感と不安ちょっぴり。


これで通算6回目の旭岳山頂。

その先に延びていく縦走路を目で追いながら進んでいきます。


下っている途中で振り返って頂上方面を見る。
意外と傾斜があって長い雪渓。

間宮岳の分岐に到着。ここで軽く食事。

そこからお鉢平を通り、北海岳にある縦走路分岐を目指す。
北海岳手前で振り返る。右奥が旭岳。

北海岳から白雲岳に向かう縦走路からもゼブラ模様が見える。

そして白雲岳山頂からの名物「ゼブラ模様」!素晴らしい!

この横にあるキャンプ指定地でテント泊です。

キャンプ指定地での野営は3名。
まだ残雪が多くテン場の半分以上はドロドロのため手前側にテントを設営。

モンベル ステラリッジ1型 2016モデル

これを携帯浄水器でろ過して飲料水にします。
水温は限りなく0℃に近く、非常に冷たくて旨い!

こんな天候の日に歩くと最高だろうな~!

6日間のうちで晴れたのは初日と4日目の前半と最終日のみ。。。
◆2日目
3時30分に起床。
カレーうどん&みそ汁で朝食をとって出発準備を済ませる。

だが強風と濃いガスのため、無理せず停滞して出発を遅らせることに。
風が落着き始めた9時に出発。ガスのなかヒサゴ沼を目指す。

濃いガスのなかを歩くのは非常に厄介だ。

横殴りの強い雨と強風が続くためテン泊は諦めて「ヒサゴ沼避難小屋」に宿泊。
明日以降もこの天候が続くなら停滞し、タイミングを見計らって天人峡かトムラウシ温泉に下山することに。

シーフードカレーメシ&ハンバーグで夕食。

◆3日目
特に苦しんだ3日目の7/2。
早朝3時過ぎに起床。風は強いが雨は弱い。
今日は12時間30分というコースタイムの行程のため、朝5時にヒサゴ沼避難小屋を出発。
強い風で雪渓の斜面に結氷箇所が多く非常に危険。6本爪アイゼンを装着して縦走路まで上がる。

日本庭園もロックガーデンも楽しむ余裕はなかった。。。

ガスのなかを歩き続け、気づくと右手に水たまりが!もう北沼に到達していた。
体力の温存と時間節約を考えたら無理してトムラウシ山の山頂まで行かずにトラバース
することもできたが、やっぱりトムラウシ山のピークを踏む。

この先のルートはまだ一度も足を踏み入れたことのないエリア。

三川台までのルートは大きなアップダウンも無く、明瞭で歩き易くて特に迷うような箇所は無し。
もし晴れていたら、ここから一体どんな景色が見えていたのだろう???
それはまたいつかの楽しみにしよう。

三川台に到着。降り続く雨の中、昼食の菓子パンを口に放り込む。
いよいよだな・・・。

三川台~双子池という難所。
精神的にも肉体的にも人生で一番辛い日になるだろう
という覚悟をもって踏み込む。

予報に反して強まっていく大雨と強風のなかを、背丈ほどの笹薮をかき分けハイマツと格闘しながら進む。
ヒグマとの遭遇や接近をできるだけ回避するため、定期的にホイッスルを鳴らすことも忘れない。
ツリガネ山を過ぎてコスマヌプリにたどり着く前に、目の前に現れた急斜面の雪渓。
硬く結氷している雪面で滑落による怪我は致命的。この難所は事前に調べて知っていた。
この約30mを安全にトラバースするためだけに持ってきた6本爪アイゼンを装着し無事にクリア。
美瑛富士避難小屋まで何とか行きたかったけど時間的に無理と判断。
よりによって、ルート中では最も早く切り抜けたかった双子池。
仕方なく、雨が降り続くなかで風に煽られながらようやくテントを設営。
行動中は気にならなかったが、動きを止めると急激に寒さが襲ってくる!
全身ビショ濡れのまま急いでテントに潜り込んだ。
まず着ていたものを全部脱いでタオルで体を拭いてから、
乾いたシャツや下着類に着替えてダウンジャケットを羽織りました。
脱いだものはテントの前室で絞って脱水し、
インナーテント上部の細引きに掛けて少しでも乾かそうと試みる。
それでもとにかく寒くてガチガチと震えがくるので、
テントのベンチレーションを開けて換気しながらガスバーナーで暖まりました。
今回の縦走前に新調した小型軽量の3シーズン用シュラフ。
モンベル アルパインダウンハガー#3(800FP)
快適睡眠温度:5℃

長時間の行動による疲労のため、
食事を終えて暖かいダウンシュラフに入るとすぐに深い眠りに落ちました。
◆4日目
目を覚ますともう外が明るかった。
急いでシュラフから出てフライシートを開けると青い空が!!!
これはホントに助かりました。頑張ったご褒美のようでした。

暴風雨でテントへの浸水が心配だったけど、全く浸水していなかった。
山岳用テントのフライシートの耐水圧は凄いな・・・。

細引きに掛けていた下着やウェアは全て濡れたままだった。
濡れて冷えたウェアに再び袖を通すのにはかなり勇気が要る。。。これはもう着干しするしかない。
この日の朝食は函館しおラーメン。

ここ双子池からオプタテシケ山のピークまで標高差は約600m。
見えているのは肩の部分でピークはさらにもっと奥にあって見えない。
風雨が強かった事がわかる雪面の形状。

双子池のテン場は大雨により冠水し、2張ほどのスペースしか残っていなかった。

キックステップで長い雪渓を登り切ってオプタテの肩の部分まで来た。
切り立った稜線に見えるが危険個所はあまり無い。

オプタテシケ山の山頂を目前にした地点で見た岩。
ゴリラの横顔に見えませんか?

ガスに隠れたあの付近がオプタテシケ山の山頂。もうちょいだ。

旭岳をもう1回登るような高度差を何とかクリアしてオプタテ山頂へ。

今年に入ってから長期縦走準備のために十勝連峰の山々はすべて登り、
エスケープルートを使うような事態が発生してもルートは熟知していた。
精神的な余裕があるのは非常に大きい!
ベベツ岳付近。
オプタテ~ベベツまでの間で濃いガスの向こうからヒグマの唸り声!
当然ながら定期的にホイッスルを鳴らしながら進む。

石垣山を下って美瑛富士方面を見る。
今日の宿泊は下に見える「美瑛富士避難小屋」。

美瑛富士避難小屋より、ナキウサギの声が響き渡る石垣山。

水場は2週間前に来た時は小屋の前で補給できた。
今回は融雪が進み、避難小屋から白金方面に15分ほど下って雪渓の左側にあった。

◆5日目
ゆっくり寝て7時に起床し、8時30分に出発。
美瑛岳分岐付近から来た道を振り返る。
雲海に浮かぶのは
手前:オプタテシケ山
奥側:トムラウシ山


無機的な荒々しさを感じる。右奥が十勝岳。

ここから十勝岳山頂を目指す。

十勝岳山頂から上ホロカメットク山に向かう稜線。
道幅が狭いので注意!


時間的にまだ余裕があるのでこのまま富良野岳山頂に行って、今日のうちに下山するという選択肢もある。
その場合、町営バスの時間が過ぎているので十勝岳温泉凌雲閣に宿泊することになる。
そこで、山でもう1泊して明日の午前中に下山することに決定。(経済的な問題で・・・)
上ホロ避難小屋から100mほど下ったところにある水場。
雪渓からすぐ出ているので冷たくて旨い!

◆6日目(最終日)
最終日は早朝3時頃に起床。
ダウンジャケットを着て外に出てみると、朝焼けと雲海が一面に広がっていた!

思えば山で初めてお目にかかるご来光だ。



4時30分に最後の朝食。またインスタントラーメンとコーヒー。

5時45分
避難小屋で同宿した登山者の方々にご挨拶をして最終日の出発。
上ホロカメットク山の水場近くにあるお花畑。


あとは稜線を進むだけ。
上富良野岳、三峰山のピークを踏み、そして富良野岳を目指す。

朝もやのなかに迫ってきた富良野岳!

いよいよ富良野岳分岐から富良野岳の山頂方面に入る。
ここにザックをデポして山頂を目指す登山者も多いが、
一緒に6日間の山旅をしてきたMILLETの75Lザックももちろん一緒に連れていく。

ついに山頂が見えた!
自然とワクワクというかゾクゾクしてくる。あともう少し!

そして旭岳を出発して6日目。
7月5日 7:45。
ついに富良野岳山頂に到達しました!涙が。。。

この日は登山者がとても多く、山頂にいた方に記念撮影してもらいました。

そして中央右に十勝岳が一面の雲海から顔を出しています。

富良野岳山頂には1時間近くも滞在したでしょうか。
下山を開始して再び雲海のなかに入ります。

雪が無い時期に歩くのは新鮮。
富良野岳に登る多くの登山者の方々とすれ違いました。
幸せな気分に包まれながらこの山旅の最終ゴールである十勝岳温泉凌雲閣へ。

富良野岳山頂から下山を開始して1時間40分。
7/5 10:30に十勝岳温泉凌雲閣に無事下山。
6日間の縦走が今終わりました。

十勝岳温泉凌雲閣に入ると、何より先にまず冷たいコーラを飲みました!
それから温泉に入り、さっきまで歩いていた山並みを眺めながら露天風呂を満喫。
風呂上りにはビール!それからカツ定食!
インスタントラーメンとパンばかり食べていたので、これは贅沢過ぎます・・・。

持参した食料は行動食も含めて予定通りに食べていたので
最後までへばらずに頑張れました。
縦走で長距離歩き続けた割には全く怪我もせず、足のトラブルも皆無で、
体調不良も起きず、無事に終えられたことに感謝。
いつかまたこんな縦走を楽しめる日がくる事を願っています。